プラスとマイナスの数を学ぼう
中学校で最初に習う大事な内容がプラスとマイナスの数です。
小学校ではほとんど正の数(プラスの数)だけを使ってきましたが、中学校からは負の数(マイナスの数)も勉強します。
プラスとマイナスの数を理解すると、寒い日の気温や借金など、今までは表せなかったことも数で表せるようになります。また、計算の世界も広がります。
数直線で表すプラスとマイナス
数直線は数の大きさや位置を分かりやすく見せてくれる便利な道具です。真ん中の0(ゼロ)を中心にして、右側がプラスの世界、左側がマイナスの世界になります。
例えば、+3(プラス3)は0から右に3つ分進んだところ、-5(マイナス5)は0から左に5つ分進んだところにあります。数直線を見れば、どちらの数が大きいかも一目で分かります。右にある数の方が、左にある数より大きいのです。
また、0から同じ距離にある数は、プラスとマイナスで対になっています。例えば、+4と-4は0から同じ距離にある対の数です。このような数を「符号が反対の数」といいます。
マイナスを含む計算のルール
マイナスの数が入ると計算のルールも少し変わります。でも、基本的な考え方は簡単です。
足し算では、同じ符号同士なら足して符号はそのまま。例えば、(+5)+(+3)=+8、(-5)+(-3)=-8です。違う符号同士なら大きい方から小さい方を引いて、大きい方の符号をつけます。例えば、(+5)+(-3)=+2、(-5)+(+3)=-2です。
引き算は「引く数の符号を変えて足す」と考えるとわかりやすいです。例えば、5-3=5+(-3)=2、5-(-3)=5+3=8となります。
掛け算と割り算のルールは簡単です。「プラス×プラス=プラス」「マイナス×マイナス=プラス」「プラス×マイナス=マイナス」です。例えば、(+2)×(+3)=+6、(-2)×(-3)=+6、(+2)×(-3)=-6となります。
身近な例で考えるプラスとマイナス
プラスとマイナスの数は実は身の回りのいろんな場面で使われています。
気温を表すときは、0℃(氷点)より暖かければプラス、寒ければマイナスで表します。「今日の最低気温は-2℃です」という天気予報を聞いたことがあるでしょう。
お金の出し入れもプラスとマイナスで考えられます。貯金が増えればプラス、減ればマイナスです。1000円持っている状態で1500円使うと、残高は-500円となり、これは500円の借金があることを意味します。
上り下りもプラスとマイナスで表せます。海抜0メートルを基準にして、山に登ればプラス、海の中に潜ればマイナスの高さ(深さ)になります。
このように、プラスとマイナスの数を使うと、日常のいろいろな状況を分かりやすく表現できるのです。
文字を使った計算の基本
中学校数学の大きな特徴の一つが、文字を使った計算(文字式)の登場です。「x」や「a」などの文字を使うことで、数字だけでは表せなかった一般的な法則や関係を表すことができるようになります。
なぜ文字を使うのか
文字を使う最大の理由は、いろいろな数に当てはまる共通のきまりを簡単に表せるからです。例えば、長方形の面積は「縦×横」ですが、縦の長さが何cmで横の長さが何cmでも、「縦×横」という計算式は変わりません。このとき、縦をa、横をbとすれば「a×b」と書けます。
また、分からない数や変化する数を表すのにも文字は便利です。例えば、りんご1個の値段がわからないとき、それをxと表せば、5個の値段は「5x」と表せます。
文字を使うことで、複雑な問題も整理して考えられるようになり、解き方のパターンを見つけることができます。小学校の算数から中学校の数学へと進む重要なステップなのです。
文字式の読み方と書き方
文字式の基本的な読み方と書き方を覚えましょう。
文字と数字が並んでいるときは掛け算を表します。例えば「3a」は「3かけるa」という意味です。ただし、普通は「×」の記号は省略します。
文字同士が並んでいるときも掛け算です。「ab」は「aかけるb」を意味します。
文字が繰り返されるときは指数(べき乗)を使います。「a×a」は「a²」(aの2乗)と書きます。「a×a×a」は「a³」(aの3乗)です。
分数の形は「a÷b」を「a/b」や「$\frac{a}{b}$」と表します。
複数の項がある場合は「+」や「-」でつなぎます。例えば「2a+5b」は「2かけるa」と「5かけるb」を足した式です。
カッコがある場合は中の計算を先に行います。「3(a+b)」は「3かけるaと3かけるbの和」つまり「3a+3b」を意味します。
文字式の計算方法
文字式の計算は、数字の計算とよく似ていますが、いくつか特別なルールがあります。
同類項(文字の種類と指数が同じ項)はまとめることができます。例えば、「3a+5a」は「8a」、「2xy+5xy」は「7xy」となります。ただし、「3a+5b」のように文字が違うと足したりひいたりはできません。
式の展開は、分配法則を使います。「3(x+2)」は「3x+6」と展開できます。二つのカッコがある場合、例えば「(a+3)(a+2)」は、それぞれのカッコの中の項同士をすべて掛け合わせます。「a×a+a×2+3×a+3×2=a²+2a+3a+6=a²+5a+6」となります。
因数分解は展開の反対の操作です。共通する文字や数字をくくり出します。例えば「3x+6」は「3(x+2)」と因数分解できます。「x²+5x+6」は「(x+2)(x+3)」と因数分解できます。
文字式の計算に慣れると、いろいろな問題を効率よく解けるようになります。
方程式で未知の数を求めよう
方程式は、分からない数(未知数)を求めるための強力な道具です。「x+5=12」のような等式の形をしていて、xの値を求めることが目標です。方程式を使えば、日常生活の中の「いくらかな?」「何個かな?」という問題を解くことができます。
方程式とは何だろう
方程式とは、左右が「=(イコール)」で結ばれた式で、その等式が成り立つような未知数(xなど)の値を求めるものです。例えば「x+3=7」という方程式では、xが4のとき左辺と右辺が等しくなります。このxの値(4)を方程式の「解」と呼びます。
方程式と式の違いは重要です。「x+3」は式で、計算途中の状態を表します。一方「x+3=7」は方程式で、xの値を決めるための条件になります。
方程式には一次方程式(xが一乗だけの方程式)、連立方程式(複数の方程式を同時に解くもの)、二次方程式(x²を含む方程式)など様々な種類があります。中学1年生では主に一次方程式を学びます。
方程式の解き方のコツ
方程式を解くための基本的な考え方は、「等式の両辺に同じ操作をしても等式は成り立つ」ということです。つまり、両辺に同じ数を足したり引いたり、両辺を同じ数で掛けたり割ったりしても良いのです。
この性質を使って、未知数xを左辺に、数字を右辺に集めることで解を求めます。例えば「3x+5=17」を解くなら:
- 両辺から5を引く:3x=12
- 両辺を3で割る:x=4
このように、等式のバランスを保ちながら、xを独立させる操作を順番に行います。
少し複雑な方程式でも、基本的な考え方は同じです。例えば「2(x+3)-4=10」なら:
- カッコを外す:2x+6-4=10
- 左辺をまとめる:2x+2=10
- 両辺から2を引く:2x=8
- 両辺を2で割る:x=4
このように、一つ一つ順番に操作していけば解けます。
文章題を方程式で解く方法
日常生活の問題を解くには、問題文から方程式を作る必要があります。基本的な手順は次の通りです:
- まず、求めたい数量をxなどの文字で表す
- 問題文から、xに関する等式を作る
- 方程式を解く
- 求めた解を問題に当てはめて確認する
例えば「あるクラスの男子と女子の合計は35人です。女子は男子より7人多いです。男子と女子のそれぞれの人数を求めなさい」という問題なら:
- 男子の人数をxとする(女子はx+7人)
- 男子と女子の合計は35人なので、x+(x+7)=35という方程式ができる
- 方程式を解く:2x+7=35、2x=28、x=14
- 男子は14人、女子は14+7=21人
このように、問題文をよく読んで、文字と方程式を使って整理すると、様々な問題が解けるようになります。
変化を表すグラフを調べよう
中学校では、二つの数量の関係をグラフで表す方法を学びます。特に重要なのが「比例」と「反比例」です。これらの関係をグラフで表すと、数量がどのように変化するのかが一目でわかります。
比例のグラフと特徴
比例とは、一方の量が2倍、3倍になると、もう一方の量も2倍、3倍になるという関係です。例えば、時速60kmで走る車なら、1時間で60km、2時間で120km、3時間で180km進みます。時間と距離が比例関係にあります。
比例は「y=ax」という式で表されます(aは0でない定数)。例えば、上の例なら「y=60x」となります(xは時間、yは距離)。
比例のグラフは原点(0,0)を通る直線になります。これが最大の特徴です。また、グラフの傾きはaの値を表しています。aが大きいほど傾きが急になります。
グラフを描くには、x=0, 1, 2…などの値を式に代入してyの値を求め、点をいくつかプロットして直線で結びます。「y=2x」なら、(0,0), (1,2), (2,4)などの点を結びます。
反比例のグラフと特徴
反比例とは、一方の量が2倍、3倍になると、もう一方の量が1/2倍、1/3倍になるという関係です。例えば、同じ仕事を人数を変えてやる場合、人数が2倍になると、かかる時間は1/2になります。
反比例は「y=a/x」という式で表されます(aは0でない定数)。例えば、12時間かかる仕事を何人かでやる場合、「y=12/x」となります(xは人数、yは時間)。
反比例のグラフは曲線になり、x軸とy軸に近づいていきますが、交わることはありません。また、x×y=aという関係があるので、どの点をとってもx座標とy座標の積は一定です。
グラフを描くには、いくつかのxの値に対するyの値を計算し、点をプロットして滑らかな曲線で結びます。「y=6/x」なら、(1,6), (2,3), (3,2), (6,1)などの点を結びます。
比例と反比例の活用方法
比例と反比例の知識は日常生活のいろいろな場面で役立ちます。
例えば、買い物では商品の個数と料金が比例関係にあります。1個100円のりんごなら、x個買うと料金はy=100xとなります。このグラフを使えば、予算に合わせて何個買えるかすぐにわかります。
旅行計画では、速さと時間と距離の関係が重要です。例えば、時速40kmで走ると何時間でつくのか、といった計算もグラフを使えば簡単です。
料理では分量と人数の関係が比例します。4人分のレシピを6人分に変更する場合、材料を6/4=1.5倍にすれば良いことがわかります。
反比例の例としては、同じ量の仕事を何人かで分担する場合があります。8時間かかる仕事を何人かですると、かかる時間はy=8/xとなります。人数を増やせば時間は短くなりますが、どんなに人数を増やしても、時間はゼロにはなりません。
このように、比例・反比例の考え方は日常の様々な場面で使えます。グラフを使うと、数量関係が視覚的にわかりやすくなります。
図形の基本をマスターしよう
図形の学習では、点、線、角、平面などの基本的な要素から始まり、様々な性質や関係を学んでいきます。コンパスや定規を使った作図の技術も身につけます。これらの知識は、空間を理解するための基礎となります。
コンパスとものさしでの作図
コンパスとものさし(定規)を使った作図は、図形の性質を利用して正確な図を描く方法です。基本的な作図をいくつか紹介します。
線分の垂直二等分線は次のように作図します。線分ABがあるとき、AとBを中心に、半径がABより大きい同じ円を描きます。その2つの円の交点CとDを結ぶと、それが垂直二等分線になります。この線はABの中点を通り、ABに対して垂直です。
角の二等分線は次のように作図します。∠AOBという角があるとき、点Oを中心に円弧を描き、OAとOBとの交点をCとDとします。次にCとDを中心に同じ半径の円弧を描き、その交点をEとします。OとEを結ぶと角の二等分線ができます。
平行線は次のように作図します。直線lと点Pがあり、Pからlに平行な線を引きたいとき、まずPからlに垂線を引き、その足をQとします。次にPを通りQP上にある点Rを通る直線を引くと、それがlに平行な直線になります。
これらの基本的な作図方法を組み合わせると、様々な図形を正確に描くことができます。作図の技術は図形の性質を理解するのにも役立ちます。
角と平行線の関係
角度と平行線の関係には、いくつかの重要な性質があります。
まず、2本の直線が交わってできる角について見てみましょう。対頂角(向かい合う角)は等しくなります。また、隣り合う角を合わせると180°になります(補角関係)。
平行な2本の直線があり、それを別の直線が横切るとき、次のような角度関係が生まれます:
- 同位角(平行線の同じ側にある角)は等しい
- 錯角(平行線の反対側で対角線上にある角)も等しい
- 同側内角(平行線の同じ側にある内側の角)の和は180°
三角形の内角の和が180°になるのも、平行線と角度の関係から証明できます。また、多角形の内角の和は(n-2)×180°で求められます(nは角の数)。例えば四角形の内角の和は(4-2)×180°=360°です。
これらの角度に関する性質は、図形の問題を解くときの基本となります。実際に図を描いて確かめてみるとよいでしょう。
三角形の性質と合同条件
三角形には様々な性質があります。基本的なものから見ていきましょう。
三角形の内角の和は180°です。これは必ず成り立ちます。また、外角(三角形の辺を延長してできる角)は、向かい合う2つの内角の和に等しくなります。
二等辺三角形は2つの辺が等しい三角形で、等しい辺に向かい合う角も等しくなります。また、頂角から底辺に引いた垂線は底辺を二等分します。
正三角形は3つの辺が等しく、3つの角も等しい(すべて60°)三角形です。
三角形の合同とは、2つの三角形が完全に重なる(大きさも形も同じ)ことを言います。合同を判定する条件は次の3つです:
- 3組の辺がそれぞれ等しい(SSS条件)
- 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい(SAS条件)
- 2組の角とその間の辺がそれぞれ等しい(ASA条件)
例えば、三角形ABCと三角形DEFで、AB=DE、BC=EF、CA=FDならば(SSS条件)、この2つの三角形は合同です。
三角形の面積は「底辺×高さ÷2」で求められます。三角形の性質を理解すると、図形問題を効率よく解けるようになります。
立体図形を理解しよう
私たちの世界は立体的です。中学校では平面図形の学習に加えて、立体図形についても学びます。立体図形の特徴や表面積、体積の求め方などを知ることで、空間認識能力が高まります。
立体図形の特徴と展開図
立体図形とは三次元空間に存在する図形のことです。基本的な立体図形には、角柱、円柱、角錐、円錐、球などがあります。
角柱は上下の底面が多角形で、側面が長方形の立体です。特に底面が長方形の角柱を直方体、すべての面が正方形の直方体を立方体と呼びます。円柱は底面が円で、側面が長方形を丸めたような曲面になっています。
角錐は底面が多角形で、側面が三角形の立体です。これらの三角形の頂点が一点に集まります。円錐は底面が円で、側面が扇形を丸めたような曲面です。球は中心からすべての点までの距離が等しい立体です。
展開図とは、立体を切り開いて平面に広げたものです。例えば、立方体の展開図は6つの正方形からできていて、それを折り曲げると立方体になります。展開図の形はいろいろあり、代表的なのは十字型です。
円柱の展開図は、2つの円(底面)と1つの長方形(側面)でできています。長方形の横の長さは円周の長さと同じです。円錐の展開図は、1つの円(底面)と1つの扇形(側面)でできています。
展開図を使うと立体の形がイメージしやすく、また表面積も求めやすくなります。紙で展開図を作って実際に折り曲げてみると、立体の理解が深まるでしょう。
表面積の求め方
表面積とは、立体の表面全体の面積のことです。立体を展開図に直して、すべての面の面積を合計すると表面積が求められます。
立方体の表面積は、1つの面の面積×6で求められます。一辺の長さがaなら、表面積は6a²です。直方体の表面積は、縦a、横b、高さcとすると、2(ab+bc+ca)で求められます。これは縦の面、横の面、水平の面がそれぞれ2枚ずつあるからです。
円柱の表面積は、底面の面積×2と側面積の合計です。半径r、高さhの円柱なら、底面積はπr²で2つあるので2πr²、側面積は展開すると長方形になり、底面の円周×高さなので2πrh、合計は2πr²+2πrhです。
円錐の表面積は、底面の面積と側面積の合計です。半径r、母線(頂点から底面の円周までの直線)の長さをlとすると、底面積はπr²、側面積はπrlで、合計はπr²+πrlです。
球の表面積は4πr²という特別な公式で求められます(rは半径)。
表面積を求める能力は、ものの包み方や塗装の量を考えるときなど、実生活でも役立ちます。
体積の計算方法
体積とは立体の空間の大きさを表す量です。中学校では主な立体の体積の求め方を学びます。
直方体の体積は「縦×横×高さ」で求められます。縦a、横b、高さcなら体積はabcです。立方体は一辺の長さがaなら体積はa³です。
角柱や円柱の体積は「底面積×高さ」という共通の公式で求められます。例えば、底面が一辺5cmの正方形で高さが8cmの角柱の体積は5×5×8=200cm³です。円柱は底面が円なので、半径r、高さhとすると、体積はπr²hです。
角錐や円錐の体積は「底面積×高さ÷3」で求められます。これは対応する柱体の1/3になるという重要な性質です。例えば、底面が一辺6cmの正方形で高さが9cmの角錐の体積は6×6×9÷3=108cm³です。
球の体積は「4πr³÷3」という特別な公式で求めます(rは半径)。例えば半径5cmの球の体積は4π×125÷3≈523.6cm³となります。
体積の計算は、物の大きさや容器の容量を考えるときなど、日常生活でも使われます。また、密度(質量÷体積)の計算などを通じて、理科の学習にもつながっていきます。
データを整理して分析しよう
現代社会では、膨大な情報(データ)を整理し、分析する力が求められています。中学校の数学では、データを表やグラフで表現する方法、データの特徴を数値で表す方法、不確かな事象を確率で考える方法などを学びます。
表やグラフで情報を整理
データを分かりやすく表現するために、様々な表やグラフが使われます。
度数分布表は、データを区間(階級)に分けて、各区間に含まれるデータの個数(度数)を示したものです。例えば、テストの点数を「0〜10点」「11〜20点」などの区間に分けて、それぞれの人数を数えます。
ヒストグラムは度数分布表をグラフで表したもので、横軸に階級、縦軸に度数をとります。データの分布の様子が視覚的に分かります。
折れ線グラフは、時間とともに変化する量を表すのに適しています。例えば、月ごとの気温の変化や成長の記録などを表せます。横軸に時間、縦軸に観測値をとり、点を線で結びます。
円グラフは全体に対する部分の割合を表すのに使います。例えば、家計の支出内訳や時間の使い方などを表すのに適しています。割合を角度や面積で表現します。
散布図は二つの量の関係を調べるのに用います。例えば、身長と体重の関係などを調べるときに使います。横軸と縦軸にそれぞれの量をとり、データを点で表します。
これらの表やグラフを適切に選んで使うことで、データの特徴を分かりやすく伝えることができます。
平均値とデータのばらつき
データの特徴を数値で表す「代表値」には、平均値、中央値、最頻値などがあります。
平均値はデータの合計をデータの個数で割ったもので、最も一般的な代表値です。例えば、テストの点数「80, 70, 90, 60, 75」の平均値は(80+70+90+60+75)÷5=75点です。
中央値はデータを小さい順に並べたときの真ん中の値です。上の例では「60, 70, 75, 80, 90」と並べ替えると、中央値は75点です。データの数が偶数個のときは、真ん中の2つの値の平均をとります。
最頻値はデータの中で最も多く現れる値です。例えば「70, 80, 80, 90, 90, 90」の最頻値は90点です。
ただし、平均値だけではデータの特徴を十分に表せないことがあります。例えば「50, 50, 50, 50, 50」と「0, 25, 50, 75, 100」は平均値が同じ50点ですが、データの広がり方はまったく違います。
そこで、データのばらつき具合を表す指標として「範囲」や「四分位範囲」があります。範囲は最大値から最小値を引いた値です。先ほどの2つの例では、1つ目は「50-50=0」、2つ目は「100-0=100」となり、2つ目のデータの方がばらついていることが分かります。
四分位範囲は、データを小さい順に並べて4等分したときの第3四分位数(上から25%の位置)と第1四分位数(上から75%の位置)の差です。外れ値(極端に大きい値や小さい値)の影響を受けにくいため、より安定した指標です。
代表値とばらつきの指標を組み合わせることで、データの特徴をより正確に把握できます。これは統計的な見方の基礎となります。
くじ引きの確率を考えよう
くじ引きやサイコロのような「偶然に左右される事象」を数学的に考えるのが確率です。確率は「その事象が起こる可能性」を0から1までの数値で表します。
確率の基本的な考え方は「同様に確からしい場合」です。例えば、普通のさいころを振るとき、1から6の目はどれも同じ確率で出ると考えます。
確率は「ある事象が起こる場合の数÷全体の場合の数」で求められます。例えば、さいころで3の目が出る確率は「1÷6=1/6」です。偶数の目が出る確率は「3(2,4,6の3通り)÷6=1/2」です。
くじ引きでも同様に考えます。5本の棒があり、そのうち1本が当たりの場合、当たりを引く確率は「1÷5=1/5=0.2=20%」です。
確率を求める際、場合の数を数えるのが難しいこともあります。例えば、4枚のカード(赤2枚、青2枚)から2枚を引くとき、同じ色のカードを引く確率はどうなるでしょうか。
全体の場合の数は、4枚から2枚を選ぶ組み合わせの数で、「4C2=6通り」です。同じ色のカードを引く場合は、赤から2枚選ぶ「2C2=1通り」か、青から2枚選ぶ「2C2=1通り」で、合計2通りです。よって、確率は「2÷6=1/3」となります。
確率は天気予報(「降水確率30%」など)や保険、くじや賭けごとなど、日常生活のいろいろな場面で使われています。
数学的な確率の考え方を身につけることで、不確実な状況での判断力が養われます。また、「期待値」という考え方も重要です。これは「各結果の値×その確率」の総和で、長期的に見た平均的な結果を表します。例えば、当たりが500円で確率が1/10のくじなら、期待値は「500×(1/10)+0×(9/10)=50円」となります。この期待値を知ることで、そのくじが得かどうかの判断材料になります。